理学療法

1a抑制・1b抑制・反回抑制についてわかりやすく解説【大切な運動神経生理学について】

これまで運動神経生理学や神経生理学について少しずつ解説をしてきました

MEPってなに?H波とは?【基本的な神経生理学】前回の記事では、基本的な神経生理学としてα-γ連関や1a線維について解説をしました https://pt0405pt.com/neur...

今回は整形外科領域で勤務している筆者が臨床でよく用いている、

1a抑制・1b抑制・反回抑制についてわかりやすく解説をしていこうと思います

これまでの生理学の解説とは違い、明日からの臨床に直結する内容です

ぜひ参考にしてみてください

こんなあなたにオススメ

現役理学療法士

理学療法学科の学生

運動神経生理学に不安がある人

1a抑制のおさらい

まずは1a抑制についておさらいをしていきましょう

前回の記事で1a群求心性線維・α運動ニューロンの解説はしました

1a抑制を理解するのには1a群求心性線維などと同時に、伸張反射についても理解しておく必要があります

伸張反射とは

1a抑制に移る前に伸張反射をおさらいしましょう

伸張反射は、

「筋が急激に伸張されることで、筋紡錘が興奮し、1a群求心性線維が脊髄後角から入り前角でα運動ニューロンとシナプス結合を行いα運動ニューロンが下行することで同名筋を収縮させる」

というものでした

ここまでが伸張反射です

1a抑制(相反神経抑制)について

しかし、主動作筋が収縮するということは、拮抗筋が弛緩しなくては主動作筋の収縮は生じません

そのため、1a群求心性線維が脊髄後角から入ったのちに、介在ニューロンを介して主動作筋の拮抗筋α運動ニューロンに対して抑制性のシナプス結合を行っています

拮抗筋のα運動ニューロンが抑制性に興奮することで、拮抗筋が弛緩し、主動作筋の収縮が生じることになります

このとき、主動作筋が収縮・拮抗筋が弛緩

というのが1a抑制(相反神経抑制)になります

伸張反射で有名なのは膝蓋腱反射です

膝蓋腱反射は、膝蓋腱を叩打することで筋を急激に伸張させます

このとき、大腿四頭筋から1a群求心性線維が脊髄に上行し、α運動ニューロンと興奮性にシナプス結合をします(ここまでが伸張反射)

これと同時に、上行した1a群求心性線維は拮抗筋のα運動ニューロンと抑制性にシナプス結合をして、ハムストリングスを弛緩させています(弛緩に関してからが1a抑制)

という一連の流れになります

伸張反射と1a抑制はあまり分ける必要がないかな?と思っているのですが、伸張反射というと弛緩に関して記載されていることが少ないように思います

なので、伸張反射は主動作筋の収縮で区切り、

1a抑制はそれと同時に生じる弛緩を含んで解説をしています

1b抑制とゴルジ腱器官について

次が1b抑制(自原性抑制)に関してです

1b抑制に関与するのはゴルジ腱器官と呼ばれる受容体です

ゴルジ腱器官は主に腱に存在しています

1b抑制は、

「ゴルジ腱器官に伸張刺激が加わると、伸張刺激が加わった筋の緊張が低下する」

といったものです

ゴルジ腱器官は腱に伸張刺激が加わることで反応するため、

筋がストレッチングされても、筋が収縮してもどちらも伸張刺激になります

1b抑制の特徴として、

  • 主動作筋・協働筋の抑制
  • 拮抗筋の興奮

があげられます

1b抑制(自原性抑制)について

では1b抑制のメカニズムを考えていきましょう

まず、筋-腱が伸張される状況でゴルジ腱器官が興奮します

興奮したゴルジ腱器官は1b群求心性線維を興奮させ、脊髄に上行します

脊髄に上行した1b群求心性線維は伸張刺激された筋を支配するα運動ニューロンと抑制性介在ニューロンを介してシナプス結合をします

それによって伸張刺激を受けた筋が抑制されることになります

反回抑制とは

最後は反回抑制についてです

反回抑制はレンショウ細胞という細胞が関与しています

脊髄前角でα運動ニューロンとシナプス結合をする、

という記載を何度かしてきましたが、このα運動ニューロンが存在している場所をα運動ニューロンプールと呼びます

つまり、α運動ニューロンがいくつもたくさん存在している、ということです

(γ運動ニューロンもあります)

α・γ運動ニューロンの軸索は脊髄前角の細胞体付近で枝わかれをしているといわれています

この枝分かれした先に介在ニューロンが存在しており、それをレンショウ細胞と呼んでいます

このレンショウ細胞からの軸索はα・γ運動ニューロンの細胞体に再度戻り、抑制性シナプス結合をしています

端的に言ってしまえば、

主動作筋を収縮させたときに、レンショウ細胞を介して主動作筋は抑制される

ということになります

このときの抑制が反回抑制と呼ばれる反射活動になります

それぞれの反射活動をどのように臨床で活用しているかは、こちらの記事で解説をしています

参考にしてください!

理学療法士が知っておきたい基礎知識-整形外科編-どうも皆様こんにちわ わらぴぃ(@ptblogpt)です! 皆さん生理学は得意ですか? 僕は苦手です とてもとても でも、臨床...

1a抑制・1b抑制・反回抑制について解説【大切な神経生理学について】、おしまい

今回は、1a抑制・1b抑制・反回抑制についてわかりやすく解説【大切な運動神経生理学について】を解説してきました

基本的な部分で臨床に応用することが出来る知識です

今一度神経生理学を学びなおし、明日からの臨床に活用していきたいですね

こんなあなたにオススメ

現役理学療法士

理学療法学科の学生

運動神経生理学に不安がある人

こんな方への知識還元になればと思います

もし何かあれば、問い合わせやTwitter DMからお気軽にご質問をどうぞ

今回使用した参考文献

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