膝関節の運動学で最も有名なのは、”スクリューホームムーブメント”かと思います
スクリューホームムーブメントは膝にはなくてはならない機能です
しかし、TKA後の膝関節ではスクリューホームムーブメントは生じるのでしょうか?
スクリューホームムーブメントの運動学が理解できていれば、答えはだせます
私自身は、スクリューホームムーブメントはTKA後には生じない、と考えています
その理由を解説していきます
目次
スクリューホームムーブメントの運動学
スクリューホームムーブメントが生じる理由として、一般的に以下のことが言われています
- 内側と外側の大腿顆部弯曲の非対称性
- ACLの緊張
- 大腿四頭筋の外側への牽引
スクリューホームムーブメントが生じる理由
-内側・外側大腿骨顆部弯曲の非対称性
一つ目のスクリューホームムーブメントが生じる理由ですが、
内側と外側大腿骨顆部弯曲の非対称性についてです
大腿骨顆の関節面は前後径が外側に比べて内側のほうが長いのが一般的です
そのため、脛骨が外顆よりも内顆でより長く滑り・転がり運動を生じることになります
このとき、脛骨の回旋量を制御しているのが側副靭帯と十字靭帯になっています

スクリューホームムーブメントが生じる理由
-側副靭帯・十字靭帯の関係
次はスクリューホームムーブメントが生じている時の、側副靭帯・十字靭帯の関係です
内側・外側側副靭帯ともに、完全伸展位では緊張を保っているため、
内-外反、内-外旋は生じません
しかし、20°屈曲位以降に両靭帯が緩み、内・外側の動きが生じるようになります
十字靭帯に関してですが、前十字靭帯は前内側部と後外側部が存在しています
ACL前内側部は屈曲に伴い緊張、
ACL後外側部は伸展に伴い緊張していきます
スクリューホームムーブメントにおける各靭帯の役割は、
ACLは膝関節屈曲時の外側顆後退を制御すること、
MCLは内側顆後退を制御、
LCLは外側顆の前進を制御、
PCLは内側顆の前進を制御し滑り転がり運動をを生じさせています
スクリューホームムーブメントにはそれぞれの靭帯の関与が必須ということをわかっていただけたと思います
外側側副靭帯:屈曲時に完全弛緩
内側側副靭帯:前方線維束-屈曲時緊張位
後方線維束-屈曲時弛緩
前方引き出しテスト:ACL前内側部の評価
ラックマンテスト:ACL後外側部を評価
スクリューホームムーブメントが生じる理由
-大腿四頭筋の外側への牽引
これはめっちゃざっくり説明しますけど、
大腿四頭筋全体のベクトルが外側方によっているからですね
ここは筋骨格系キネシオロジーを参考にしてもらえるといいかと思います
機会があれば詳細に解説していきますw
こちらも参考にどうぞ!
スクリューホームムーブメントはTKA後には生じない
スクリューホームムーブメントの運動学については、ざっくりおさらいできたと思います
正常膝とTKA後の膝で異なるのは以下の2点です
- 関節面が人工
- 靭帯がない
ですね
TKA後は関節面が人工であるため、スクリューホームムーブメントが生じない
正常膝のスクリューホームムーブメントでは大腿骨顆の影響がありました
そのため、TKA後では大腿骨・脛骨ともに関節面が人工になるため、
大腿骨顆の影響を受けないため、スクリューホームムーブメントは生じないと考えられます
あくまで、解剖と運動学的に考えた場合です
人工関節面は本来の関節面に寄せて作られているものもあるため、
スクリューホームムーブメントに近い動きは出てくるかと思います
TKAでは靭帯を切除しているため、スクリューホームムーブメントが生じない
TKAはPS型、CR型、BCR型と型が三種類あります(僕が把握している限り)
どの型であっても靭帯は切除しますね
一部温存している型もありますが、それはあくまでも一部です
運動学的視点から考えた場合、スクリューホームムーブメントが生じるためには、
ACL,PCL,MCL,LCLすべての靭帯が必要になります
その為、TKAでは一部残存しているとはいえ、
靭帯を切除しているため、スクリューホームムーブメントは生じないと考えています
スクリューホームムーブメントはTKA後に生じるのか?
-文献的考察
ここまでは解剖学と運動学から私見を解説しました
スクリューホームムーブメントがTKA後にも生じるのか?
という文献があります
BCR型のTKA後にはスクリューホームムーブメントが生じない
OKCでは再現されているが、CKCでは再現されていないと報告されている
大腿骨側を置換した状態では再現されるが、脛骨側を置換すると再現されない
Native rotational knee kinematics are lost in bicruciate-retaining total knee arthroplasty when the tibial component is replacedより
ざっくりとこんな感じです
BCR型なのでACL温存ですね
これも私見ですけど、TKAをやる程度の変形性膝関節症ではACLの機能は破綻していることが考えられます
術中所見でDr.に聞いたときもACLは機能していないと教えていただいたので、
重度変形性膝関節症ではACLが機能していないと考えています
スクリューホームムーブメントがTKA後には生じない理由とは?について、おしまい
今回はスクリューホームムーブメントがTKA後には生じない理由とは?についてをお伝えしました
解剖学を知っていると運動学がわかります
まだまだわかないことが多いですが、少しでも臨床の一助になれば幸いです!
ちょっとずるいですが、TKAの機種によってはスクリューホームムーブメントに寄せている機種もあります
しかし、靭帯がないため、結局はスクリューホームムーブメントを完全に再現はできないと考えています
もし何かあれば、問い合わせやTwitter DMからお気軽にご質問をどうぞ!



















