理学療法

深部静脈血栓症【Homans徴候とLowenberg徴候の違いとは?】

さて、今回は深部静脈血栓症について解説をしていきます

深部静脈血栓症はDダイマーから判断し、超音波検査で確定することが多いと思います

しかし、血液検査・超音波検査がすぐに行えないときどうしますか?

深部静脈血栓症の所見としてHomans(ホーマンズ)徴候とLowenberg(ローウェンブルグ)徴候があります

この二つはなにが違うのでしょうか?

臨床でのDVTを考える際の一助にしていきましょう

こんなあなたにオススメ

術後整形外科患者を多く担当する

Homans・Lowenberg徴候の違いを知りたい

深部静脈血栓症とは?

まずは深部静脈血栓症についておさらいをしておきましょう

深部静脈においてなんらかの原因で血栓が生じること、を深部静脈血栓症と呼びます

静脈血栓の形成には、

  1. 静脈の内皮障害
  2. 血液の凝固亢進
  3. 静脈の血流停滞

が関与しており、これをVirchowの3徴候と呼んでいます

ここらへんは有名ですね

深部静脈血栓症の危険因子はガイドラインに記載されているので、参考にしてください

肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に 関するガイドライン(2017年改訂版)

深部静脈血栓症のなにがいけないのか?

整形外科術後ではリスク管理の一つとして、深部静脈血栓症を確認することがありますよね?

では深部静脈血栓症のなにがいけないのでしょうか?

血栓で問題になるのが、肺血栓塞栓症です

語弊がありますが、深部静脈血栓が生じていても、血栓が飛ばなければ問題にならないのです

血栓が肺に流れてしまうことが問題なのです

肺に血栓が流れてしまうのが、肺血栓塞栓症ですが、これは、

突然死があり得ます

そのため、深部静脈血栓症に有無で離床の可否が決まってくるわけです

深部静脈血栓症の臨床症状

深部静脈血栓症の臨床症状は、

  • 術側の疼痛
  • 浮腫
  • 片側性かつ急性発症した腫脹
  • 表在静脈の怒張
  • 色調変化
  • Homans(ホーマンズ)徴候
  • Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候

などがあげられます

Homans(ホーマンズ)徴候

Homans(ホーマンズ)徴候とは、足関節背屈強制により被覆部痛を訴えるものを陽性とします

下腿三頭筋の伸張痛とは違い強い激痛である、と言われています

Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候

Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候は、腓腹部の把握痛やマンシェットによる100~150mmHg程度の加圧で圧痛が生じるものを陽性としています

Homans(ホーマンズ)徴候もLowenberg(ローウェンブルグ)徴候もどちらも深部静脈血栓症の臨床症状を確認するのに用いますが、なにが違うのでしょうか?

最後は両者の違いを解説していきます

Homans(ホーマンズ)徴候とLowenberg(ローウェンブルグ)徴候の違い

私自身は、Homans(ホーマンズ)徴候とLowenberg(ローウェンブルグ)徴候の特異度・感度が両者の違いだと思ってます

どちらかもしくは両者が陽性であった場合に、DVTを疑う必要がありますが、特異性は低いと報告されています

Homans(ホーマンズ)徴候の特異度・感度

Homans(ホーマンズ)徴候の特異度・感度はそれぞれ、

特異度:39〜89%

感度:10〜54%

と報告されています。(引用文献:Evidence-Based Physical Diagnosis)

Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候の特異度・感度

Lowenberg(ローウェンブルグ)の特異度・感度も探したのですが、

渉猟しきれなくてですね、唯一見つけたのが上記の教科書です

Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候の特異率は50〜70%です

結局Homans(ホーマンズ)徴候とLowenberg(ローウェンブルグ)徴候、どちらを評価すればいいのか?

結局のところ、どちらも陽性性は低いと言われています

僕が臨床で、

「あれ?DVT?」

って疑う時は、両方の評価を当然します

さらに下腿の腫脹や色調変化、足背動脈触知、足趾でのSPO2測定を行っています

足趾でのSPO2測定は記載されている文献を見たことがないですが、

血栓が生じていれば生じている側のSPO2が低下するのではないか?

と考え、測定を行っています

それで引っかかってくれれば、当然ドクターに上申しますし、

わからんなーって時も上申します

結局怪しくて怪しいと思っていたのに上申せずに、DVT発見

が一番怖いですからね

僕らが運動させたが故に血栓が飛んだ

なんて事態は免れなくてはいけないわけです

超音波検査の特異度・感度はかなり高め

実際にDVTを疑う場合は超音波検査を行います

超音波検査の特異度・感度はかなり高いことが報告されています

特異度:80%以上

感度:95%

(引用文献:Noninvasive diagnosis of deep venous thrombosis. McMaster Diagnostic Imaging Practice Guidelines Initiative.)

疑わしい時にはドクターに上申して超音波検査してもらいましょう

おまけ:腓腹部を把持する検査は?

簡易的なDVTのスクリーニングで腓腹部を把持する方法がありますよね?

Lowenberg(ローウェンブルグ)徴候の感覚でやっている方もいると思いますが、

正確にはPratt徴候と言います

深部静脈血栓症【Homans徴候とLowenberg徴候の違いとは?】、おしまい

今回は、深部静脈血栓症【Homans徴候とLowenberg徴候の違いとは?】を解説してきました

整形外科術後などではリスク管理の一つとして、評価する機会が多いかと思います

その際に自分自身が行っている検査はなんなのか?

という疑問を持つことが大切だと思います

こんなあなたにオススメ

術後整形外科患者を多く担当する

Homans・Lowenberg徴候の違いを知りたい

こんな方への知識還元になればと思います

もし何かあれば、問い合わせやTwitter DMからお気軽にご質問をどうぞ

今回使用した参考文献

Noninvasive diagnosis of deep venous thrombosis. McMaster Diagnostic Imaging Practice Guidelines Initiative.

肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断,治療,予防に 関するガイドライン(2017年改訂版)

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