理学療法

理学療法士が物理学を臨床応用するための基礎編[COPとCOGについて]

今回は少しだけ物理学の話をしたいと思います

理学療法を行うのに物理学?

って思う方はそんなに多くないとは思います

でも臨床で気にしている方は少ないはずです

今回は理学療法を行う上で最低限知っておきたい、COGやCOPの解説をしていきます

こんな方におすすめ

臨床でCOG,COPを意識出来ていない

必要なのはわかるけど、応用の仕方がわからない

そもそもCOG,COPってなんだっけ?

理学療法と物理学

まず、理学療法と物理学の関わりですが、

僕ら理学療法士はphysical therapistといいますが、

これを直訳すると、物理学士になります

もう根本から物理学ですね笑

それなのに、養成校では物理学の授業はさらっと終わってしまう印象があります

理学療法場面での物理学の応用

それでは、実際の理学療法場面ではどのように物理学が働いているのでしょうか?

まず、ヒトが生活を営む上で最低限の原理原則があります

それが重力が加わっている、という点です

ヒトが重力に従っている状態を、従重力位

ヒトが重力に逆らっている状態を、抗重力位

と呼んでいます

抗重力伸展位に関しては今回はスルーしましょう

抗重力位を取るためには、当然ですが、

重力に逆らう必要があります

では、重力に逆らっているのはなんでしょうか?

重力に逆らうのに必要なのは一つは筋力ですね

筋力はヒトが唯一生み出すことが出来る力、

さらにもう一つは床反力になります

床反力はヒトが生み出すことができない力になります

作用反作用の法則

ここで一つ思い出してもらいたいのが、

作用反作用の法則です

一定の方向に力が加わる時、それと同じ力が反対の方向にも作用する

というやつです

作用反作用の法則

この作用反作用の法則を考えると、

床反力は作用した筋力の反作用になります

ではどうやって筋力で重力に逆らっているのでしょうか?

重力に逆らうためには重心線を考える

重力に逆らうためには重心線を考える必要があります

まずは重心線についておさらいをしましょう

ヒトの身体と重心線

実際には重心線は見ることができません

それでもヒトには重力が加わっているため、下向きに働く力が作用しています

それを疑似的にしたものが、重心線となります

重心線を規定するものには重心位置というものが大切になります

重心の位置

それぞれの赤丸が重心の位置です

一番左の図では各肢節ごとの重心位置を、

真ん中の図では、上半身重心と下半身重心の合成重心を、

一番右の図では上半身重心と下半身重心の合成重心を表しています

重心線と重心位置の関係

ヒトの身体の場合、重心位置は二つにわけられています

上半身重心と下半身重心です

上半身重心はTh7~9

下半身重心は大腿部上1/3と1/2の中点と言われています

そして、その2つを合成したものが重心位置になります

それが大体、第2仙椎の部分です

上半身重心と下半身重心は姿勢が崩れても、両者の関係性は崩れません

つまり、どんな姿勢になっても、上半身重心と下半身重心の中心に重心位置が存在することになります

重心位置から下方向の力(垂線)を下ろしたものが重心線になります

要は、重心位置は上半身重心と下半身重心によって規定され、

重心線は重心位置に規定される、ということになります

COPとCOGとはなにか

ある程度の物理学の復習が出来たと思います

最後がCOPとCOGについてです

COGとは

COGについて

COGとは身体重心(center of gravity)のことになります

重心位置はそれぞれの肢節ごとに規定されており、それを上半身と下半身で分けたのが、上半身重心と下半身重心になります

COPとは

COPについて

COPは圧力中心、床反力作用点とも呼ばれています(center of pressure)

床と身体との接触面に働く力の分布の中心点です

おまけBOSとは

支持基底面(base of support)はBOSといいます

支持基底面とは、身体の床面に接している部分の外周により作られる広さ(領域)をいいます

支持基底面が広く、重心線が支持基底面の中心に近いほど安定性は高まります

上記3つの、

COP.COG.BOSについてはしっかりと把握しておくことが重要です

この3点が理学療法場面で物理学を応用するための基礎になります

理学療法士が物理学を臨床応用するための基礎編、おしまい

僕は中学の時から物理学が嫌いでした

嫌いなまま理学療法士になってしまったので、臨床で物理学からの捉え方に苦労をしました

今もちょっとしてますけど

ただ、一つずつ分解して、紐解いていくと

「な〜んだ、そんなことなのか」

って思えるようになります

少しでも明日からの臨床に役立つと幸いです

次回はCOPやCOGがモーメントにどういった影響を与えるのか、

応用するにはどうするのか、そもそもモーメントとはなにか、

について解説していきたいと思います

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